葛根湯と小青竜湯は、風邪や鼻炎の症状に使われる有名な漢方薬ですが、対象となる症状や体の状態が異なります。どちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。
葛根湯は、ひきはじめの寒気や肩こりに適しており、小青竜湯は、水のようなサラサラした鼻水やくしゃみに特化した処方です。症状に合わない漢方を選ぶと、効果が得られないだけでなく、副作用のリスクも高まります。
ここでは、葛根湯と小青竜湯の特徴と、症状に合わせた正しい使い分けを解説します。
葛根湯(かっこんとう)
効く症状・タイミング:
- 風邪の超初期(ひきはじめの1〜2日程度)
- 寒気が強く、まだ汗をかいていないとき
- 首筋や肩のこわばり、頭痛、筋肉の痛みがある場合
考え方:
体を温めて汗を出すことで、体表にある風邪の原因を追い出すイメージです。鼻炎よりも、風邪の初期症状や肩こりの改善に向いています。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
効く症状・タイミング:
- 水様性のサラサラした鼻水やくしゃみがひどい場合
- アレルギー性鼻炎(花粉症など)の初期や軽い症状のとき
- うすい水様の痰を伴う咳や気管支炎
考え方:
体を温めながら、体内の余分な水分のバランスを整えることで症状を改善します。鼻水が黄色く粘り気がある場合(熱がこもっている場合)は適しません。
併用に関する注意点
葛根湯と小青竜湯は、原則として併用を避けてください。
両方とも麻黄(まおう)という生薬を含んでおり、作用が似ているため、同時に服用すると動悸や発汗過多などの副作用が強く出る可能性があります。症状に合わせて、どちらか一方を選ぶことが重要です。
症状が変わった場合は、服用する漢方薬を切り替えるのが正しい使い方です。
ご自身の体質や持病(高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害など)によっては注意が必要な場合もあるため、判断に迷う場合は薬剤師や登録販売者、医師に相談してください。
