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ナマリのように重く動かない体を疲れない体にする

なまりのように体が重い
なまりのように体が重い

血液中の酸欠を防ぐ

仕事や勉強などで、長時間、集中し続けた時など、ふとわれに返り、「あれ?息をし忘れていた」「呼吸が浅くなっている」と気づいたことはありませんか?

これは、交感神経が緊張を続けたために起こる現象です。

酸素を取り込む量が減り、血液中の酸素の濃度(PO2)、血糖値が下がった状態。つまり、血液中に酸素と糖が不足し始めると、それを知らせるために、疲れの感覚が出てくるわけです。

この「軽い疲れ」を解消するには、5分もかかりません。深めの深呼吸を5回ほど行ったり、少しだけ甘いものを摂ったりしてみるだけでずいぶん違います。

ちなみに、「心地よい疲れ」と「鉛のように体が重く感じる疲れ」の違いとはどういうことでしょうか?

交感神経が優位になってまもないころ、血中酸素量も血糖値も高く、血液の循環量が多くなって、体の中で気持ちよくエネルギーが消費されます。この血流循環が維持されている状態で休息を入れれば、心地よい疲れとなります。

ところが、休息を入れずに、さらに活動を続けると、血中酸素量も血糖値も下がり、血液循環が抑制されます。この状態が疲れのレベル1です。このあたりから、体が鉛のように重く感じる疲れが始まります。レベルが上がるにつれて、さらに重い疲れになっていくため注意が必要です。

血行を改善する体操

このレベルの疲れの特徴は、「体が少し重く感じる」感覚にあります。血液中の酸素濃度と血糖値の低下が続いたことで、筋肉や内臓などの一部組織が、酸素・栄養不足に陥っているからです。

また、仕事などで緊張を強いられがちな筋肉(たとえば、デスクワークが多い人なら肩や腰など) には、血流が不足し、その部分の温度が下がり始めているサインとして、こりを感じるでしょう。

交感神経が優位になった当初は、血流はよくなるのですが、休息も入れずに活動を続けると、交感神経優位と共に血管の収縮も続くことになり、血流障害を起こしてしまいます。

この状態は、深呼吸をしたくらいでは治りません。深呼吸に加えて、こりや重さを感じる部位を動かす軽い体操を10~20分行ってください。緊張している部位を動かせるなら、ラジオ体操でも何でもよいでしょう。

ここで大切なポイントがあります。疲れをためない最初の防波堤は、「体を動かすことで血流を回復させ、体の中から熟を生じさせること」です。

疲れを食い止めることができれば、体温も下がらず、こりもひどくはなりません。

食い止めることができないと、自力では十分に血流を回復させたり体温を上げたりすることができず、入浴などで体の外から熱を与えなくてはならない段階に入ります。それが、次のレベル3 です。

体が重く感じたら「とにかく体温を上げる」

このレベルは、全身クタクタという状態。筋肉や内臓などの組織の酸素・栄養不足が深刻になり、軽い運動くらいでは回復しないレベルに陥っています。
病気の直前状態であるという意味で、非常に注意を払うべきです。ここで現れる体のサインを丁寧に見ていきましょう。

まず、精神的には、気分がイライラし、怒りつぼくなります。次に、活動量が多すぎて、やせ細るか、ストレス解消のための食べすぎによる肥満傾向が出てきます。血管の収縮が続くことで血流が滞り、体温は低下しています。

顔を見ると、顔色が濃くなる方向で悪くなっているのも特徴です。

肌の調子は悪く、顔などにポツポツと軽い吹き出物が出始めます。これは、白血球の、種である顆粒球の数が多くなり、皮膚に炎症が起き始めるからです。

首・肩・背中・腰のこりが進み、目は疲れ、耳鳴りがします。睡眠中に、こむら返り、寝違えを起こしやすくなります。また就寝中でも腰痛が出ます。

さらに、就寝中のいびきがひどくなります。これは、交感神経の緊張が持続するため、体が酸素不足になり、「もっと酸素を吸いたい」と、無意識のうちに口呼吸をしているからです。口呼吸になると、舌根が口の上の部分に触れがちになるので、音が出るのです。

子どもや若い人のストレスは、睡眠中の歯ぎしりとしても現れます。これらを解消するには、先ほども述べたように、少しくらいの運動では追いつかないので、体の外からよく熟を与えることです。その方法として、お腹や太もも、お尻、二の腕など大きな筋肉が集まる箇所を、湯たんぽやカイロで温めたり、ゆったりと入浴すると効果的でしょう。

「体を温めながら、睡眠をよく取り、体力を回復させつつ、軽い運動を取り入れて血流をよくする」ことです。これには、一晩から数日単位の時間がかかるでしょう。このレベル3の疲れ解消は重要です。これが、病気にならないための最後の砦と言えるからです。

ほかにも副交感神経を刺激する、とても簡単な健康法として、「爪もみ療法」も効果的です。さらに、「薬を常用しない」ことも大切です。

薬を常用すると、交感神経がますます興奮し、疲れや、こり、痛みが悪化するサイクルに入りやすいからです。

デスクワークが多く、腰痛に悩む人などは、消炎鎮痛剤の類を使いがちですが、症状をますます悪化させることになりますので、なるべく控えてください。

忙しいビジネスパーソンは、疲れをこのレベルで食い止めるのは難しい場合も少なくないでしょう。しかし、ぜひこれらの解消法を取り入れてほしいと思います。なぜなら、疲れが次の段階に進むと、40代以降で、がんなどの大病に至る可能性が高くなるからです。

自分の「お疲れ度」をチェックする方法

お疲れ度をチェック
お疲れ度をチェック

体の不調がわかっても慌てない

これから「疲れのレベル診断表」をもとに、交感神経優位タイプと副交感神経優位タイプの疲れが、どのように進行していくのかを見ていきます。
「疲れのレベル」が5段階に分かれており、それぞれの段階での代表的な症状、解消法が書かれています。大切なことは、疲れのレベルが3の段階で食い止めること。それが「病気にならない」コツです。自分の体の声をよく聴き、体のメンテナンスをしましょう。

がんばり屋タイプの疲れ

  • レベル1(軽い疲れ)
    呼吸が浅くなる。血中の酸素濃度が下がり、炭酸ガスが増える。血糖値も上がり始める。
  • レベル2(体が重い)
    筋肉や内臓などの組織の一部が酸素・栄養不足になる。血流障害が起き、肩こりが出る。
  • レベル3(全身くたくた)
    酸素・栄養不足が深刻化。肩、背中、腰のこり、目の疲労、顔などに吹き出物が出る。
  • ☆レベル3~レベル4の間が病気との境界線

  • レベル4(炎症がはじまる)
    酸素不足の深刻化、組織破壊が発生。肩、背中、腰の鈍痛、にきび、口内炎、歯槽膿漏、胃炎、便秘。
  • レベル5(病気が発生)
    活性酸素による組織破壊が進行。高血圧、不眠、胃潰瘍、十二指腸、ガンなど病気と診断されるレベル。

のんびりタイプの疲れ

  • レベル1(じっとしていたい)
    血圧、血糖値が低くなる。体を動かすことが億劫に感じる。
  • レベル2(気だるい)
    血流が滞りがちで無気力状態に。朝、起きても元気が出ない。
  • レベル3(無気力)
    筋力などの体の機能が低下。長時間たっているのがツライ。腰痛、肥満などの症状
  • ☆レベル3~レベル4の間が病気との境界線

  • レベル4(アレルギー性の症状が出る)
    アレルギー性の反応、軽い炎症が出る。金属や虫刺されへの過剰反応。
  • レベル5(アレルギー慢性化)アトピー性皮膚炎やアレルギー性疾患が慢性化。疲労で会社を欠勤する。

適度にがんばることと、適度に休むバランスが大切

適度にがんばる
適度にがんばる

体を温めるだけでつかれにくい体になる

「活動しすぎ」か「リラックスしすぎ」かこの両極端な生き方が疲れや病気の原因です。「活動しすぎ」は交感神経優位、「リラックスしすぎ」は、副交感神経が優位の生き方です。

交感神経を価位にさせる要因は、「過度のストレス」です。ストレスにはさまざまな種類がありますが、おもに現代人に大きく影響しているのは、次の3つです。

  1. 働きすぎ
    自律神経のバランスを崩す最たるものでしょう。眼精疲労、冷房などによる体の冷やしすぎ、睡眠不足などが多大なストレスになります。
  2. ここの悩み
    精神的なストレスも、交感神経を緊張させます。
  3. 薬の常用
    西洋医学で処方される薬は、ほとんどが交感神経を緊張させるものです。特に、消炎鎮痛剤や降圧剤やステロイド剤を数週間以上の長期にわたって使用すると、体を交感神経優位に傾かせます。

これらの3つの要因によって引き起こされる、さまざまな疲れ現象についての詳細は後に記します。仕事や人間関係に緊張を強いられることもなく、運動不足で毎日を過ごしている例です。先ほどストレスは交感神経を緊張させると述べましたが、じつは、ストレスの少ない生活も、疲れを生むのです。

簡単な対処法は、ちょっとした体操をするなど、体を動かすことです。このように、疲れを生む原因は、両極端の生き方、つまり、バランスの悪い生き方にあるのです。そうした極端な生き方は、今すぐやめましょう。人間の体には、括動と休息を交互に繰り返す、メリハリの利いた生活が必要なのです。