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深くしっかり眠る熟眠方法

疲れない体は「湯船」から

よい眠りを得るためには、入浴方法も重要です。よく、健康のためには、シャワーだけでなく、ゆっくり湯船に浸かったほうがいいと言われますが、これも、はっきりと理由が数字に出ています。

ある会社の研究員では、次のような研究結果を発表しています。ある会社の社員18人を湯船派とシャワー派に分け、リンパ球と顆粒球の数を測定したところ、湯船派のリンパ球数の平均が2248個、シャワー派のリンパ球数の平均が1901個と出たそうです。リンパ球の理想的な値は、2200個~2800個ですから、湯船派のほうがよかったわけです。

反対に顆粒球は、湯船虎よりもシャワー派のほうが多くなりました。ここから、湯船派のほうがシャワー派よりも、自律神経のメリハリが利いた習慣を得ていることがわかります。

反対に、シャワー派は、湯船派よりも交感神経の緊張が強くなっていると考えられます。やはり、入浴は湯船に虔かり、しっかりと体温を上げ、汗をかいたほうがいいと言えそうです。

体温が上がると自律神経のバランスも取れ、代謝も活発になり免疫力も高まるからです。シャワー派の人は、入浴方法を変えたほうがいいでしょう。ただ、シャワー派には、そもそも毎日が忙しすぎて、入浴時間をゆっくり取るゆとりさえないという人も多いでしょう。また、体温が低いので、湯船に浸かるのは苦手という人もいます。低体温の人は、忙しすぎる場合と、ラクをしすぎている場合があり、どちらにしろ極端な生活をしていることがうかがいしれます。

極端すぎる生活が、入浴方法に端的に表れ、白血球の割合の数字にも表れているとするなら、ただ「入浴方法を変える」よりも、「入浴のクセに表れているかもしれない生活のクセを直す」ととらえたほうがいいのかもしれません。

体温プラス4度「疲れがドッサリ取れる」水温

さて、お勧めの入浴法について見てみましょう。まず、よく言われるように、入浴前には、浴室内での発汗に備えるため十分な量の水を飲んでください。

水温は、体温プラス4度がよいでしょう。これは、「気持ちいい」と感じられる温度です。平常体温がよい状態にある人は、水温は、40度以上がよいでしょう。体温が低い人は、それでは熱すぎるので、38~39度が適切です。いずれにせよ、自分で「気持ちいい」と感じられる温度を一度測ってみましょう。

湯船に入る前には、足湯などをして、ゆっくりと体温を上げてから入るようにます。体温が低い状態で急に熱い湯に入ると、交感神経が優位になるからです。循環器系にも負担がかかります。

浸かり方は、全身浴でも半身浴でもかまいません。湯船に浸かっている時間は、全身浴なら10分程度でしょうか。全身浴で息が苦しくなるような人は、半身浴をお勧めします。
半身浴なら、40分くらいかけて入ると、ゆっくり体温が上がって、副交感神経を刺激することになります。40分は長いので、浴室に雑誌や本を持ち込んでもよいでしょう。

熱い湯と冷たい水に交互に触れる交替浴も、自律神経を刺激するいい方法です。ただし、もともと体が冷えている人は、まず、お湯で体を温めることを習慣にしてください。

もうひとつお勧めしたいのが、入浴しながら、体温を測ることです。入浴する2分前に、体温計を口にくわえて体温を測りましょう。湯船に浸かる時は、再び体温計を口にくわえます。

時々、見てみると、徐々に体温が上がってくるのがわかるでしょう。この体温の上昇を見て、「体がよい状態になてきている」と喜びを感じてほしいと思います。

あまり湯船に浸かる習慣がなかった人は、最初は、なかなか体温が上がらず、汗もかけないでしょう。なぜなら、深部体温が低いことが多く、体は、低い深部体温を保とうとするからです。しかし、湯船に浸かることを習慣にすると、体温の上昇が早くなって、汗もかきやすくなるはずです。

これは、体がよい状態に向かっている証拠です。体内のさまざまな循環もよくなり、冷え性なども解決していくでしょう。体温が上がって出てくる汗にも種類があります。最初に出てくる汗は、サラサラしています。これは、体の中の余分な水分です。余分な水分を排泄した後、なお体を温め続けると、皮脂腺が活性化し、今度は油含んだ汗が出始めます。この汗には、体の中のさまざまな化学物質や活性酸素などの毒素が含まれています。それが排泄されると、体の調子がよくなっていきます。

半身浴は血管の詰まりに効果大

疲れがとれる睡眠ととれない睡眠

太陽と同じ時間に起きる

不眠解消法も、睡眠の質を高める方法も、方向性は同じです。自律神経のバランスを取り戻した生活が欠かせないということです。
寝る直前だけ、何か特別な方法などを試しても意味がありません。

、疲れをためない方法を実践して、1日を過ごすことが大切です。自律神経のメリハリをつくる基準のひとつが、太陽です。太陽と共に生活することを心がければ、自然にリズムが戻ってくるのです。

人間の体は、一般的には22時ごろに眠りにつき、朝は4~6時に起き出すので、睡眠時間は6~8時間がいいでしょう。体がひどく疲れたと感じた時は、早く寝るか、遅く起きるかして、睡眠時間を確保します。

ひとつ付け加えておくと、早起きを習慣づければ、睡眠時間が調節しやすくなるでしょう。4時に起床すると、1時間余分に寝ても5時、2時間遅く起きても6時なので出勤には十分間に合います。

出勤時間が決まっている人でも、太陽が沈んだら早く寝て、太陽が昇ったら起きる生活を心がけていれば、体の声を聴きながら睡眠時問の調節をすることが可能になるのです。

夏と冬で睡眠時間を変える

起床時間を4~6時とするのは、夏と冬では、起きる時間を変えるからです。夏は4時に起き、睡眠時間は6時間くらいになりますが、これで十分です。なぜなら、夏は、気温が高く気圧が低くなつているので、副交感神経が優位になりやすく、その分疲れにくいのです。

冬は6時に起きます。冬は気温が低く、気圧が高いため、交感神経が緊張気味になり、疲れやすいので、睡眠時間を長く取る必要があるわけです。夏は夜が短く、冬は夜が長くなるので、太陽と共に生活するという基本原則にも沿った生活になります。

この2時間の差を感じる感性があると、体の調子がとてもよくなります。日中は、交感神経を優位にするために、活発に活動することが大切です。

副交感神経が優位になる生活をしている人は、よく活動をして、ちょっと疲れを感じるくらいでないと、眠りが深くならないでしょう。

また、太陽の光をよく浴びることも大切です。太陽の光の刺激は、交感神経に強く働きかけ、人間を最も興奮させるからです。ただ、交感神経が緊張しすぎて眠りにくい人は、活動中は、できるだけこまめに休息を入れ、疲れをため込まないよう気をつけることが大切です。

また、夕方以降は、できるだけ仕事をしないことです。

起床したら、朝日を浴びます。天気のよい日には、7時の朝食までの時間を利用して、1時間ほど散歩をします。距離にすると7キロくらいでしょうか。

それから、軽く体操をします。その後、出勤。

まず、原稿の執筆など、目を使う仕事をしますが、交感神経を刺激するので、午前中でおしまいにします。午後は、仕事の種類を変えて、研究などに時間を使います。

疲れを感じたら、仕事の合間に、休息を取り、体操をします。できるだけ定時には仕事を終え、夜は10時に就寝します。眠りの質をよいものにするには、こうした自律神経のメリハリが利いた生活がとても大事です。

寝酒は眠りを浅くしてしまう

寝酒(ナイトキャップ)の注意点
寝る直線に、交感神経を刺激するような習慣を持っている人は、その習慣をできるだけやめたほうがいいでしょう。

まず、目を使いすぎることは、よくありません。仕事のストレス解消にと、テレビやインターネットのニュースを観たり、ゲームをする人もいるかもしれませんが、あまり長時間になるのは好ましくありません。

また、よく言われているように、お酒を飲むこともよくありません。飲み始めは、副交感神経が優位になってぼーっとなり寝やすくなるかもしれません。
しかし、寝ている間にアルコールを分解しなくてはいけなくなるので、体に負担がかかります。また、飲みすぎると、逆に交感神経を緊張させるので目が冴えてしまいます。

結局、1日のストレスを、より強いストレスで解消しようとしないことです。深い腹式呼吸をするなり、軽いストレッチをして血の巡りをよくするなどして、ストレス解消するようにしたいものです。

寝つきがいい睡眠と悪い睡眠

寝つき
寝つき

布団に入るとあっという間に寝てしまう人の特徴

さて、どうすればよく眠れるのかという話をする前に、そもそも不眠に悩まされている場合は、どう解消すればいいのでしょうか。
自分の体の自然なリズムを意識しようと言われても、リズム自体が不安定になつているので、なかなかわからないでしょう。

不眠の場合は、活動しすぎ、または楽をしすぎの極端な生活によって体のリズム自体が崩れています。そこで、まず、活動と休息の、ほどよいバランスを取り戻さなくてはなりません。

不眠にも、疲れと同じように2つのタイプがあります。1つ目のタイプは、交感神経優位の生き方で不眠に陥っている人です。このタイプの人は、交感神経が優位になったまま活動をしすぎたために、自律神経のシーソーがうまく働かなくなり、ずっと交感神経の優位が続いています。

副交感神経が優位になる夕方以降、夜中まで働くのが当たり前になっているという例です。また、交感神経を緊張させる心の悩みが大きい人も、該当するでしょう。

交感神経が緊張し続けると、ベッドに倒れ込むように寝たり、昼間に猛烈な睡魔に襲われたり、週末に風邪を引いて寝込むなど、強制的に休息を入れる反応が出てきます。ここで休んでいれば、何とかバランスを保てるのですが、こうしたサインが出ても休まない場合は、自律神経のバランスが崩れ、常に交感神経が優位になって眠れない状態になっていきます。
2つ目のタイプは、副交感神経優位の生き方で不眠に陥っている人です。

日中の活動量が少なすぎるため、夜は眠くならないのです。眠くならないので、安易な夜更かしに走り、自律神経の日内リズムが崩れて、健康状態が悪化します。両タイプとも、低体温になる傾向があるので、朝起きても、すぐに活動のエンジンがかかりません。
エンジンがかかるのは午後以降と遅れがちになり、興奮が夜まで続いてまた眠れないという悪循環に陥ります。

眠りが浅く短い人」は人生も浅く短い?

2つのタイプとも両極端な生活ぶりですが、共通点を挙げるとすれば、人工照明の発達、夜でも活動できる人工的な環境の影響が大きいでしょう。もともと人類は、何千年も太陽と共に生活をしてきました。太陽が出ている時に活動し、太陽が沈むと共に寝るしかなくなるという生き方です。

体も、そのような生活リズムでバランスが取れるように構成されているわけです。L かし、ここ50年ほどの科学の発達により、真夜中でも明かりをつければ、仕事も勉強もできるようになりました。

24 時間、蛍光灯が目にまぶしいコンビニエンスストアもできました。夜中でもテレビやビデオを観て楽しむことができます。インターネットも発達し、楽しみの幅はさらに拡大しています。

これらは、すべて、光を目に入れて刺激し、交感神経を働かせるものです。夜になっても眠らずに活動した結果、睡眠不足になり、それが高じて不眠になり、疲れがたまって病気になる人が増えているのです。
たとえば、働き盛りに多いストレス多で眠れずに血圧が高くなる症状などです。

普段から血圧が高い人はわかりやすいのですが、睡眠不足になると血圧が上昇します。これも自律神経が不安定になったことによるものです。疲れたときに休むことが結果、仕事や勉強を

文明の利器が悪いのではありません。それは、大いに便利さを提供するものですから、上手に使いこなせばよいでしょう。問題は、人間が、自分たちで生み出しためまぐるしい環境の変化に振り回され、体の自然な働き・リズムを見失ってしまったことにあります。そう知って、生き方を修正していくことが、とても大事になっているのです。