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免疫の実力

体内毒素は「すべて白血球が撃退する」

次に、免疫のシステムも、疲れと深く関わっていることについて、です。免疫とは、体の外から侵入してくる細菌、ウィルス、体内にはないたんばく質など、外敵や異物から体を守る働きのことです。
また、体内で古くなり死んでしまった細胞や、がん細胞のように変異を起こした細胞を除去する役割も担っています。

この免疫を担う細胞が、血液中を流れる血球の中の、白血球と呼ばれる細胞です。血液1立方ミリメートルあたり、44000~7000個ほど含まれており、大まかには、顆粒球とリンパ球、そしてマクロファージの3種類あると言ってよいでしょう。

顆粒球は、おもに大きなサイズの外敵から体を守る働きをしています。真菌や細菌、死んでしまった自分の体の細胞を、食べるという形で処理をします。顆粒球は、白血球の封54~60%を占め、血液1立方ミリメートルあたりに3600~4000個ほど含まれます。

顆粒球の寿命は、体の細胞の中で最も短い2日程度で、1 日に半分程度が新しいものと入れ替わっています。このように寿命のサイクルが早いのは、侵入してくる外敵を迎え撃てるように、元気のある若い細胞を次々と補充するためです。

一方、リンパ球は、通常は、白血球の約35~41%を占め、数としては、血液1立方ミリメートル中に約1800~2500個含まれています。リンパ球は、食事などで体内に侵入してきた異物やウィルスなどの、細菌よりずっと小さな敵を処理する役割を担っています。

また、体内の、老化した細胞、壊れた細胞、ウィルスに感染した細胞や、がん細胞などの細胞をマクロファージと協力して除去します。

リンパ球と顆粒球を合わせると、白血球の95%ほどになりますが、残りの5%がマクロファージです。マクロファージは、顆粒球が食べるものよりも大きなサイズの外敵を食べたり、体内の老廃物を除去したり、顆粒球やリンパ球に「敵が侵入したから、やっつけろ」と指示を出すなどの働きを担っています。

体力と白血球の総量は比例する

これらの白血球の数をコントロールしているのが、自律神経のシステムです。白血球は、血液に乗って体中を移動している細胞なので、以前は、自律神経の支配を受けにくいと思われてきました。

しかし、1996年、白血球も自律神経の支配下にあることがわかったのです。

顆粒球とリンパ球の細胞の表面には、両方の神経伝達物質を受け取るレセプター(受容体)があり、顆粒球は、ノルアドレナリンを受けた時に活性化し、アセチルコリンを受けた時に抑制されると考えられます。リンパ球はこの逆です。このようにして、自律神経が、白血球の細胞構成の割合を決めているわけです。

これは人間の活動にとって非常に合理的なシステムです。交感神経が優位になって体が活発に動く時は、体に傷がつきやすくなり、細菌などの侵入も増えます。

そのために、顆粒球の割合を増やして体を守っているのです。逆に、副交感神経が優位になって休息をしている時には、リンパ球がマクロファージと協力して、体内のおかしくなった細胞を除去します。
また、食事の際に体に入ってくる異物やウイルスなどの細かい外敵には、顆粒球は対応できないため、リンパ球が活躍することになります。体力と、白血球の総数は正比例しています。活動量が多い人、体を鍛えている人は、筋肉量も多いため、血流がよくなり、体温も上昇します。

すると、体を防衛するための白血球の数も多くなります。通常は、5000個前後ですが、6000備前後となってきます。この場合、白血球のうち数が増えるのは、おもに顆粒球のほうです。活動量が多いと交感神経が優位になり、交感神経から出るノルアドレナリンによって顆粒球が活性化されるためです。

ですから、白血球の総数に対する顆粒球の割合が通常よりも大きくなり、リンパ球の割合は小さくなるわけです。

逆に、活動量が減って、副交感神経優位となり、筋肉の量なども減ってくると、白血球数も3000~4000個と数が落ちます。この場合、リンパ球の割合が通常よりも多くなり、その分、顆粒球は減ります。体を防衛する力は、体の活動量に正比例しています。「体力があるのに白血球がかいり少ない」という禿離はありません。活動量が増えると白血球の数は増え、活動量が低下すると、白血球の数は減るということです。

このように、その人の生き方がはっきりと数字に出てくるので、血液検査で白血球の状態を詳しく見てみるとよいでしょう。白血球全体に占めるリンパ球のパーセンテージも、「白血球分画を調べてください」と言えば、簡単に調べられます。ただ現代の医学界では、血球の数字の変化をこのような視点で見ることができる人は、とても少ないのが現状です。

白血球のバランスが崩れると病気になる

白血球中の顆粒球とリンパ球のバランスが、通常レベルで保たれている時は、免疫力もよい状態で保たれています。しかし、交感神経か副交感神経の、どちらかの優位状態が続きすぎると、白血球中の顆粒球とリンパ球の割合のバランスが崩れます。

交感神経優位が続きすぎると顆粒球が多くなり、副交感神経優位が続くとリンパ球が多くなりすぎます。「多くなるなら、防衛力が上がりそうで、よいではないか」と思うかもしれませんが、何事も、過ぎたるは及ばざるがごとしです。

たとえば、顆粒球の数が増えすぎると、外敵と戦うだけではなくて、体の中にすんで重要な役割を担っている常在菌とも戦い始めます。常在菌とは、胃の中にすむピロリ菌、腸の中で食物を分解するなどして役に立っている各種の善玉菌などです。

また、顆粒球は、古くなって死んだ細胞も食べるのですが、増えすぎると正常細胞まで攻撃し始めます。こうして体のあちらこちらで化膿性の炎症が起き始めます。

にきび、おできから始まり、急性肺炎、急性虫垂炎、肝炎、化膿性扁桃炎、骨髄炎などがそうです。さらに悪いことに、顆粒球が増えると、粘膜上で顆粒球が役目を終える際に発生する活性酸素の量も増えてきます。まさに悪循環が続きます。

顆粒球の数が通常範囲なら、活性酸素の毒素を中和する酵素で組織は修復されるのですが、顆粒球が多くなると修復が追いつかなくなります。
また、顆粒球の数が多すぎる時は、たいてい体温も下がって酵素の働きも悪くなり、血流も滞って、新陳代謝の働きが弱まっています。

こうして、修復が追いつかなくなり、活性酸素による組織の老化が起き始めます。気になる皮膚のシミ、シワ、くすみや動脈硬化などです。

さらに、体のあちこちの粘膜で組織破壊が起き始めます。これが、「交感神経優位タイプの疲れレベル4」に登場した、口内炎、歯槽膿漏、胃炎などです。

レベル5 になると、がん、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、十二指腸潰瘍、白内障、糖尿病、痛風、甲状腺機能障害、クローン病などが出てきます。
それでは、リンパ球が増えすぎるとどうなるのでしょうか。花粉やホコリなど、通常なら外敵と見なさないようなものにまで、増えすぎたリンパ球が過剰に反応し始め、アレルギー性の疾患が生じます。ぜんそく、アトピー性皮膚炎、花粉症、通年性の鼻炎などがそうです。

病気にならない体温は「36.5度」

白血球と体温の深いつながりを知っておくと、自分の免疫力の状態を把握するのに便利です。ベストの体温である36.5度の時、リンパ球の割合が38パーセントになり、それが免疫力の面から見て、ペストの状態だと言えます。

自律神経もメリハリが利いていてバランスが保たれ、エネルギー代謝もベストの状態です。リンパ球比率が38%のベストのラインから左に向かうと、交感神経優位の状態になります。

交感神経が活発に活動しているので、一時的には体温37度くらいまで上がり、やる気に満ちた気分になります。しかし、それが行きすぎると、やがて交感神経優位タイプの疲れゾーンに入ります。

この状態では、血流が滞り、体温は下がっているはずです。

さらに平熱が36度を割り込み、低体温になると、病気の世界に入っていくのです。リンパ球の割合としては、30%を割ると、この世界に入ると言えます。
ベストのラインよりも副交感神経が優位な状態になって、活動量が減るので、体温は下がる一方になります。こちらも、行きすぎると副交感神経優位タイプの疲れゾーンに入り、体温が36度を割り、リンパ球の割合が50%を超えるあたりから、病気の世界に入っていきます。

37度から36度までの範囲が「長寿の体温」です。リンパ球が多い状態で体温が正常範囲内にあれば、ウィルスなどの外敵や、がんなどの異常な自己細胞を排除しやすい状態となるからです。

この状態は、適度に交感神経を刺激し、その後は副交感神経優位の状態の休みを入れるというメリハリの利いた生活をしている理想的な状態だと言うことができます。

このように、体温の数値は、免疫力がどれくらいあるのかを、如実に表しています。
また体温は、エネルギー代謝の状態も表しているので、非常に大切です。体温を見れば、疲れのレベル、病気かどうかがわかると言っても過言ではありません。

現代人は、体温に対して、あまり注意を払わない傾向にありますので、深部体温37.2度、腋高体温36.5度という数値をよく覚えておき、努めてこのレベルになるよう、日常の生活で注意を払いましょう。お年寄りになると少し低体温ぎみで健康な人も出てきますので、それはそれでいいでしょう。
低体温で体の冷えを自覚しているのなら免疫力アップのために生姜の冷え取り力の実力を活用するといいでしょう。
そして腸内環境を整えることが大切です。
便秘体質ならいちじくがおすすめです。免疫を整える際に手っ取り早いのはなんと言っても腸内環境を整えることです。

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