腸の免疫力を高める方法 > 腸の免疫力を高める

大笑いは体にいいことだらけ

まじめな早死にする

「まじめな人ほど早死にする」と、まじめに警鐘を鳴らし続けている医師や専門家は多いものです。まじめ過ぎると自分でなんでも抱えこみ、手が抜けません。小さなことにクヨクヨして、気持ちの切り替えができないので、ストレスがたまり、病気になります。

まじめすぎると、免疫力が落ちるんです。その代表例が「フィンランド症候群」です。1970年代、フィンランド政府は比較的裕福で生活環境の似た、40〜45歳の男性1200 人をふたつのグループに分けました。一方は健康管理をしっかり行い、もう一方はなにもしないようにして、どちらの病気が少なくなるかを15年間追跡しました。

健康管理グループは定期的に健康診断を受け、血圧の高い人は降圧剤、コレステロールの高い人はその降下剤などで治療し、塩分や砂糖、アルコールの摂取をひかえ、運動もきちんと行いました。一方、なにもしないグループは好きなものを食べ、飲酒や喫煙も自由でした。15年後、意外な結果が出ました。

なんと健康管理をしっかりと行ったまじめグループのはうが、自殺も含めて死亡率が高く、自殺や心腺病なども多かったんです。健康管理にあまりにも神経質になると、ストレスが多くなって逆効果。いいかげんにやっているほうが、免疫力が落ちなかったのだと考えられます。

いつも「がんばって」「こだわって」「気に病んで」いる人は、免疫力が低下しているおそれがあります。なにごとも思いつめず、こだわりすぎず、ほどほどに楽しんで、気楽に過ごすのがいいんです。

トイレはどこ!どこ!各駅停車症候群の恐怖

外出先でまたお腹が下るかも」と心配で、電車も各駅停車にしか乗れない。どんなところにいても、まっ先に確認するのはトイレのありか。いつでも駆けこめるところにトイレがないと、不安でしかたがない。お通じが3 日ないのは当たり前。だれにも言えない、「おなら連発」の悩みが… 。

身に覚えがあるあなたは、通称「各駅停車症候群(過敏性腸症候群)」かもしれま
せん。

過敏性腸症候群 | Condition
https://condition-info.com/archives/1146

  • 何週間も下痢や便秘が続いている。
  • 下痢と便秘が交互にくり返される。
  • 急にお腹が痛くなり、トイレに駆けこむことがよくある。
  • 排便すると腹痛がやわらぐ。
  • 排便後、残便感がある。
  • 腹痛やお腹が張る感じによく悩まされる。
  • 便秘がちで、ウサギのフンのようなコロコロした便が出る。
  • ところかまわずおならが出てしまう。

当てはまる項目が3つ以上あったら、かなり可能性が高いと思います。下痢や便秘がおこる病気はほかにもたくさんあるので、まずは消化器内科を受診してください。各駅停車症候群は日本人の2割が悩まされているとも言われ、花粉症と並ぶ国民病になりつつあります。

消化器内科の臨床医をしている友人は、「『各駅』の患者さんがついに、外来の半分を占めるようになった」となげていました。レントゲンや内視鏡で検査しても、腫瘍や潰瘍などのはっきりした異常は見つからないのに、大腸がしょっちゆうストライキをおこす、やっかいな不調です。

多くの人がお悩みなので、少し詳しく症状を説明します。タイプは大きく分けて「下痢型」「便秘型」「混合型」の3つがあります。

下痢型

お腹がゆるくて下痢しやすい状態が長く続きます。便に粘液が混ざることはあっても血便はなく、下痢によって体重が減ることもまれです。胃に食物が入ると大腸に急な「ぜん動(便を先に送る動き)」がおきやすいため、なにかを食べるたびにお腹がゴロゴロいい出す人もいます。

便秘型

腹痛があり、便意はあるのに出にくく、一般的に、ウサギのフンのようなコロコロした便が出ます。

排便後も残便感が残って、すっきりしません。これは、腸の運動が鈍っているところに、肛門に近いS状結腸(場所はおへそから左下に下がった付近、便秘の時かたく感じるところ) のけいれんという追い打ちがかかって、便がせき止められるせいだと考えられます。

混合型

下痢が数日続いたと思うと今度は便秘になり、出てもコロコロした便や、ひょろり
と細い便、といった症状がくり返されます。

ほかに、緊張するとおならが立て続けに出たり、いまにも出そうになって冷や汗が出るほどつらい人や、いつもお腹が張って「うっとうしい感じ」がする人もいます。

不安が招く「腸けいれん」の悪循環

各駅停車症候群がおこりやすいのは、日本人にとても多い、まじめできちんとした性格の人。人前ではおおらかにふるまっているけれど、実は細かいことが気になる人。

レッドゾーンは「月曜日の朝」「気が重い仕事や試験の前」「初めての場所」など、不安や「いやだなあ」という思いが増す時です。

寝ている時や、休みをひかえた週末、あるいは趣味や楽しいことに熱中している時は、症状がほとんどでません。大腸には脳と同じ神経が数多くちらばり、「脳腸相関」と呼ばれるネットワークで結ばれています。

大腸と脳はいつも情報をやりとりしていて、脳が不安、あせり、プレッシャーなどのストレスを感じると、自律神経を通じてすぐ腸に伝わって、便秘や腹痛や下痢を引きおこします。

逆に、下痢や便秘などの腸の不調は、自律神経を介して脳のストレスになります。つまり、ストレスの悪循環がおきやすい。ということは、各駅停車症候群は、ストレスによる「大腸の運動異常」だと考えられるのです。口から入った食べ物は胃、小腸、大腸を通過しながら消化・吸収され、便の形になっていきます。

それが直腸まで下りてくるとトイレに行きたくなり、肛門から排泄されます。食べた物がそういう「旅」をして体の外に出ていけるのは、腸が運動しているからです。朝ごはんを食べると、健康な大腸は運動を始めます。夜の間にスタンバイしていた便が直腸まで運ばれて、便意を感じます。そして排便を終えると、「今日はすんだから、また明日に」と無意識のうちにコントロールされ、1 日1 回のリズムができます。

この腸の運動は、「胸がドキドキする」時と同じ、自分ではどうしようもない自律神経にコントロールされるので、自律神経のバランスが乱れると、結果的にお通じも乱れることになります。

便秘が続くと、うつになる

ストレスはこの自律神経をかき乱します。気持ちの緊張が自律神経に伝わると、腸の運動をうながす「副交感神経」のテンションが異常に高まって大腸にけいれんがおき、下痢がおこります。また、もっと肛門に近い直腸でけいれんがおきると、逆に便秘になります。また、通勤電車の中でお腹が痛くなり、次の駅で途中下車してトイレに駆けこむなどの経験を一度すると、「またやるかも」という不安が新たな腸のけいれんを引きおこしてしまいます。

けいれんの悪循環に陥りやすくなります。そんなこんなでお腹の調子をいつも気にしていると、わずかな痛みにも敏感になり、強く感じるようになります。そのため医学的な名称は「過敏性腸症候群」になっています。各駅停車症候群は、ドミノ倒しのように心身にダメージを及ぼします。

まず、下痢や便秘で体力が落ち、腸内の細菌バランスがこわされて、はかの病気にもかかりやすくなります。強いストレスからうつ状態になったり、深刻な不安感が引きおこされるのも問題。すると記憶にかかわる海馬が萎縮し、神経ネットワークのつながりも悪くなります。そうなると記憶や学習にも影響が及び、忘れっぽくなったり、新しいことが覚えられなくなります。仕事や勉強、日常生活にも支障が出てきます。腸が過敏になると、頭の働きまで衰えるんです。

心の病をできるだけ早く改善したい場合は腸内環境 | 賢い乳酸菌生活
https://constipation-guide.net/lactobacillus/%e5%bf%83%e3%81%ae%e7%97%85%e3%82%92%e3%81%a7%e3%81%8d%e3%82%8b%e3%81%a0%e3%81%91%e6%97%a9%e3%81%8f%e6%94%b9%e5%96%84%e3%81%97%e3%81%9f%e3%81%84%e5%a0%b4%e5%90%88%e3%81%af%e8%85%b8%e5%86%85%e7%92%b0/

薬によって、つらい症状を一時的にやわらげることはできますが、根本的に治せるわけではありません。また、便秘薬にいつも頼っていると、体に耐性がついて効きにくくなるので、強力な下剤を求めたり、基準量を超えて服用するようになります。そのうち「薬の刺激がないと腸が働かない」という事態にも陥りかねません。

腸のストレスをなくす7項目

やはりなんとしても、腸のストレスをはねのける必要があります。7つの改善策があるのですぐに実践しましょう。

その1 だれかに打ち明けて、ストレスを軽くする

ストレスの原因になっている悩みや心配ごとを、少しでも軽くすることが先決です。ひとりで堂々めぐりするより、だれかに打ち明けるとそれだけで気持ちが軽くなり、思わぬヒントも得られます。

ストレートに言いにくければ「知り合いにこういう悩みがあって」と、自分の悩みを人のことにおきかえて相談するといいでしょう。とりわけ女性は「おしゃべり」そのものが、とてもよいストレス解消になると報告されています。場合により、カウンセラーの助けを借りるのもひとつの方法です。

その2 人は走りながら悩むことはできない

いつ暴れ出すのかと、ついお腹のことばかり考えてしまう。無理もありませんが、ますます神経がピリピリして悪循環になるので、気をそらすことを考えましょう。

「人は走りながら悩むことはできない」と言われます。体を動かすと、自然に気がまぎれます。大げさな運動じゃなくていいんです。一駅分歩いたり、なるべく階段を上り下りするようにしたり、家ではストレッチしたり、モップでなく雑巾がけをしたり、全身をまめに動かします。頭皮をマッサージしたり、手のグーパーや、足指じゃんけんなど、体の先のほうを動かすと全身の血流がよくなって、自律神経が整います。

足裏の中央の、指を曲げるとへこむところには、有名なツボ「湧泉」があります。名前の通り「生命力が湧いてくる」とされる万能ツボ。自分で押す時は股関節を開くので、腸ストレッチにもなります。悩んだら、手足を動かしてみてください。

その3 ホットヨーグルトなどで、温熱腸活

冷え性で平熱が36℃ 未満という人は、内臓の温度も低くなり、免疫細胞の働きが鈍ります。つまり免疫力が低くなります。なるべく温かい物を食べたり飲んだりして、お腹を冷やさないようにします。

ヨーグルトも電子レンジで体温ぐらいに温めて摂ると、生菌も活性化して一石二鳥。おへその下にホットシャワーを当てたり、冬は携帯カイロを貼るのも手です。お腹が冷えやすい人は、夜「腹巻き」をしたり、湯たんぽを抱いて寝てみてください。

その4 腸を動かす腹筋ストレッチ

100歳の長寿を全うされた東大名誉教授が、白寿(九十九歳) を祝う記念冊子に、1日に100回、腸を「の」の字に動かす(少しでも動けばO K) 健康法を紹介されていました。

外からもむのでなく、自力で動かすそうです。これはどこでもできて、腹筋もきたえられるよい腸マッサージですね。大きく動かしたり、小さく動かしたり、グルグル回すようにしたり、最初は数回ずつから始めてみましょう。下痢も便秘も、腹筋が強くなるだけでかなり改善しますよ。

その5 1日1回は爆笑

大笑いは、何度でも申し上げたい腸免疫アップ法。身体が活性化され、免疫力がアップして、痛みやつらさが軽くなります。医学的に言うとこうなります。

  1. 笑うと脳に「快」の刺激が伝わり、大腸の神経細胞へ伝わる
  2. 免疫機能活性ホルモンが分泌され、免疫系の主役、白血球が活気づく
  3. モルヒネの数倍の鎮痛・快感作用のある、β -エンドルフィンも大量分泌

大笑いは免疫薬、鎮痛剤なんです。思いきり笑うほど、脳の活性効果も腸のストレッチ効果も高まるので、最低1日1回は「爆笑」しましょう。

お笑い番組、コメディー映画、落語、マンガなど、好きなジャンルの爆笑アイテムを取りそろえておき、頭をからっぼにして、できるだけ大げさに笑うこと。カラ笑いでも、本当に笑ったのと同じ効果があります。

その6 早起きして、日光を浴びる

決まった時間に「早起き」することをおすすめします。何日か続けて早起きすると、夜も自然に早く寝られるようになって、睡眠時間が安定します。

うつ病やパニック障害などの心の病にかかると、睡眠が安定しなくなり、昼夜が逆転しやすくなります。生物も、植物も、基本的に何億年も「朝日とともに起き、日没とともに眠る」生活を続けてきました。体内時計は、暗くなると眠くなり、明るくなれば「起きなさい⊥ と指令を出します。免疫系の中心、N K細胞の働きも、朝起きてから徐々に高くなり、夜1時を過ぎるとぐんと低くなるので、夜更かししていると病気にとりつかれやすい。自律神経も、昼間は活動に適した交感神経が優位に、夜間はリラックス系の副交感神経が優位になります。

「早寝早起き」は、あらゆる意味で生体のリズムに合っていて、睡眠の質もよくなり、熟睡できることがわかっています。

その7 ほどほど主義に転換する

「まじめ」や「完璧主義」はほどほどにして、沖縄の人の「なんくるないさ(なんとかなるさ)」の精神を見習いましょう。ゆったりかまえ、やれることをやったら、運を天に任せて、小さいことにクヨクヨしない。自分のことも追いつめず、リラックスをたいせつにします。

腸で95%作られる「セロトニン」と心

腸で95%作られる「セロトニン」と心朝起きたら、必ず日光をあびてください。すると不安感も興奮も抑えて心に安らぎをもたらすホルモンである「セロトニン」が分泌されます。

「笑い」「散歩やストレッチ」「深呼吸」でも、セロトニンが増えます。このホルモンが不足すると、感情にブレーキがかかりにくくなり、うつ病や、パニック障害、引きこもりなどの症状がおこりやすいと言われます。そう言えば心を病んだ人は、笑わないし、出歩かないし、呼吸は浅く、昼夜逆転の人がとても多い。セロトニンの出る暮がないんですね。

だから、うつ病の治療には、セロトニンがシナプス(神経細胞間のつなぎ目) にとどまるような薬が用いられています。

セロトニンは、脳内で1 % 、腸で95 % 、残りは腎臓や血小板などで産生されています。ただし、腸のセロトニンは脳内に移動することはできません。腸のセロトニンは腸の中で独自に活動しています。セロトニンの材料は、必須アミノ酸のトリプトファン。これは赤身肉、大豆製品、ごま、かつお、チーズ、牛乳、バナナなどに多く含まれます。

落ちこんだら、焼き肉を食べよう!

肉、とりわけ牛肉は「大腸がんの原因になる」「腸内環境を悪くする」「コレステロールを上げる」と、しょっちゅうたたかれていますね。でも、要はバランスです。80歳をすぎても元気いっぱいの社長さん、会長さんなどと会食をすると、だいたい肉好きの食いしん坊で、なんでもよく食べます。

あの徳川家康公だって、庶民に肉食を禁じておいて、自分は「薬食い」と称して近江午の味噌漬けをしょっちゆう食べて、16人も子を成し、75歳まで生きています。

当時の日本人の平均寿命は37歳、徳川14代の将軍の平均寿命も49歳。徳川公の75歳は、驚異的な長寿です。牛肉は肉類の中で最も栄養価が高く、脂肪酸から作られる物質、アナンダマイドには至福感、爽快感をもたらしたり、痛みをやわらげる効果があります。

ビタミンB2や鉄分も多く含まれ体を温める作用が強いので、世界各地で、病気の回復期には牛肉スープや牛肉がゆが滋養食にされてきました。明治時代に流行した牛鍋屋でも、体力をつける薬膳料理として利用されていたようです。

焼き肉やステーキを食べると気分がハイになり、頭が冴えておしゃべりになり、性欲が増してムラムラするのはなぜでしょう。牛肉にはアナンダマイドに加え、脳や身体を活性化する物質「アラキドン酸」という物質が、たっぷり含まれているからです。

私たちの脳細胞は、脂肪の膜で取り囲まれているのですが、なんとその成分の14 % がアラキドン酸なんです。男性20人にアラキドン酸を1カ月以上摂取してもらい、脳の情報処理の速さを計ったら、摂取前より脳の年齢がおよそ7・6蔵書返った、という実験結果も報告されています。

野菜もバランスよく摂るなら、牛肉は脳も体も若返らせる妙薬。牛ひき肉にとりわけ豊富なので、悪名高いハンバーガーも、アンチエイジング食品という意味では赤マルです。

腸は悲しみに弱い

深い悲しみを感じている時、胃腸の働きは一気に弱まることが多いようです。最愛の妻に先立たれた夫や、子どもに先立たれた母親は、何日も食事がのどを通らなくなったりしますね。

ストレスが加わると、NK 細胞の活性がガクンと低下することが確かめられています。たとえば、ラットの動物実験で、「子育て」をしている母親から子どもを取りあげると、母親のNK柵胞の働きは見事に下がります。また、病気のラットがそばにいると、それを見たラットのNK細胞の働きが下がると報告されています。ど,前述した「はらわた(腸) がちぎれる」という言葉も、子猿を取られた親猿の慟哭からきていました。悲しみに沈んだあとは、いったん封印して、なんとしても気持ちを切り替えてください。あなた自身の命を守るために。

あなたのストレス度を診断

免疫力は精神的ストレスにとても弱いので、たとえば受験生はテスト前になると風邪をひきやすくなります。ストレス度を診断しましょう。次のうちいくつ当てはまりますか?

  • 健康のため、好きな酒もタバコもやめた。
  • 細かいことにも手を抜かず、気配りをおこたらない。
  • サプリメントで体調管理はバッチリ。
  • 肉や魚はなるべくひかえている。
  • 心配ごとがあると、下痢や便秘になりやすい。
  • 悩みごとは自分で解決しようと努力する。

チェックが多い人ほど、ストレスがたまりやすい性格です。ひとりでいろいろと抱えこまず、落ちこまず、自分を少し甘やかして、うまく息抜きしてください。

腸を元気にする心のもち方

腸を元気にする心のもち方。それは、頭でっかちになりすぎないで、「快=気持ちいい」「不快=気持ちよくない」という原始的な感覚に、もっと敏感になることだと思います。

イヌやネコを飼っている人は、身近によいお手本がいます。彼らはだれに教わることもなく本能的に、「自分がどうすれば快適に生きられるか」を心得て、実行しています。

食べ物のにおいをよくかぎ、不快な物は食べません。気のおもむくままに体を動かし、イヌは喜怒哀楽を素直に表に出します。ネコは徹底してマイペース。イヌもネコも、しばらくじっとしたあとは思いきり「伸び」「あくび」をして、筋肉や骨の緊張をほぐしています。

現代人は「感じる」ことを二の次にして、理屈でものを考え、行動しがちです。とりわけ世界でも指折りのまじめ国民、日本人はいつも「〜ねばならない」が頭にいっぱいです。また、けっこう他力本願で、健康管理さえも「専門家に聞かないと、自分の状態がどうなのかわからない」ということになってしまいがち。人に合わせて、やりたくもないことをやることも多いですね。

たとえばカラオケが好きな人が歌って盛り上がるとNK活性が上がりますが、好きでもないのに歌うと下がってしまう… 腸の働きが落ちてしまうことがわかっています。今日から、もつとマイペースに、気のおもむくままに生きてみましょう。

腸の免疫力を高めれば不快な症状も病気も治る

免疫力は40歳で半減、70歳で10分の1に減ってしまう

私たちの体を守ってくれる免疫力は、血気盛んな20歳がピーク。その後はだんだん低下して40歳になると半減し、70歳になると10分の1 ほどに落ちこんでしまいます。

免疫力の低下とともに、糖尿病、高血圧、心臓病、脳卒中などの「生活習慣病」を患う人が増えてきます。不規則な生活やストレスが続くと、これらの病気をかなりの確率で発症し、いまの医学では根本的な治療は困難とされています。生活習慣病の中で最もおそろしいのが、言うまでもなく死因のトップを続けるがんです。

がんになりたくない、というのは万人共通の願いですが、残念なことに、なかなか思いどおりにはいきません。

どんな人の体の中にも、がんの卵と、一定数の「がん遺伝子細胞」があります。毎日数千個の新しいがん細胞ができています。がんにならないのは、免疫細胞、中でも主に白血球の中のリンパ球のNK (ナチュラルキラー)細胞が、がん細胞を殺してくれるからです。

「NK細胞は不良少年をたたいているおまわりさん」だと昔から私は言ってきました。おまわりさん細胞がちやんと働いてくれれば、がんの芽をつんでくれる。

ところが、おまわりさんが弱くなって不良少年が生き残り、数が増えて暴力団になってしまったら… 。それが、がん腫瘍。免疫力が低下すると、がんの抑制が効かなくなるんです。

人間からNK細胞を取ってしまうと、発がん率はグンと上がり、ウイルスに感染しやすくもなります。ですから、NK細胞を利用した治療で最も効果が期待されているのは、「発病を未然に防ぐ」ための予防医学的な使い方です。NK活性(NK細胞の働きの強さを示す免疫力の指標)を長期にわたって高め、維持する必要があるのです。

1個のがん細胞が増殖し始めると、だいたい10〜20年で、1 cmほどのがん組織に成長します。

がん組織は「免疫力の危機を放置しておいた結果」と言うことができるでしょう。この免疫力のカギを握っているのが腸内環境です。

一般的な20代女性の大腸は、きれいなピンク色をしています。腸内の血行がよく、悪玉菌の数が少なく、腸内環境が整っているからです。それが70代になると、色はうっすらと黒ずみ、灰色に変色してしまいます。腸内は悪玉菌だらけになり、NK細胞もすっかりへタっています。腸を黒ずませてはいけません。

美しい肌は腸年齢で決まる

アンチエイジング時代。「きれいなお肌ですね」「お若いですね」とほめられたい…という思いは男女を問わず、テレビのC M も、スキンケア製品が花盛り。美容液にシワ取りクリーム、ニキビ化粧品、パック剤、マッサージローラー… 。男性向けも多彩です。

しかし、肌年齢を決めるのは、外からのお手入れよりも「腸年齢」なんです。東京と大阪の20〜0代の女性600人を対象にした、興味深い調査結果(第23回ヤクルト健康調査) があります。腸内細菌学に詳しい、坪野義己先生が開発したテストによって腸年齢を判定して、心身の健康状態や容姿、肌の状態と比べたもの。「腸年齢が若いほど肌の悩みが少なく、心も体も健康で見た目も若い」、という結果がはっきりと出ています。

トイレ
  • いきまないと出ない
  • 排便後も便が残っている気がする。
  • 便がかたくて出にくい。
生活習慣に関して
  • トイレの時間は決まっていない。
  • おならがくさいと言われる。
  • タバコをよく吸う。
食事に関して
  • 朝食は食べないことが多い。
  • 食事の時間は決めていない。
  • 野菜不足だと感じる。

腸年齢の判定は「実年齢より若い」「実年齢+10」「+20」「+30」の4段階。実際の質問は全部で24項目でしたが、右の9 つからでもY ESが5個以上あったらあなたの腸年齢は実年齢+10かそれ以上、1〜2個ならほぼ実年齢より若いと言えます。

腸が老けると、見た目も老ける

この調査で、腸年齢が実年齢より若かった人は全体の5% しかいません。肌の「乾燥」「シミ・ソバカス」「ハリ・ツヤ」「シワ」「毛穴の開き、黒ずみ」「くすみ」、.脂性」「化粧のノリ」「にきび・吹き出物」「アトピー」「そのほか」と、肌の悩みのすペての項目で、腸が暑いはどトラブルが少ない、という結果でした。

たとえば、にきび・吹き出物やアトピーに悩むのは、腸の若い人は6 % しかいないのに対し、「+20歳」の老いた腸の人は26 % と、大差がついています。

意外にも若いほど腸年齢が実年齢より「老けて」いることが多く、次のようなこと
もわかっています。

  1. 肥満の人、ストレスの非常に強い人は特に腸が老化している。
  2. ストレスが少ない人に、腸の若い人が多い。腸の若い人はどプロパイオテイクス(生きて腸に届く乳酸菌) の摂取頻度が高く、健康状態、体力、気分、容姿も苦く、肌の悩みは少ない。

悪玉菌が優勢の腸内では「腐敗」が進み、腐敗物質や有害物質が大量に生まれて腸壁から吸収され、血液を通して全身に運ばれて、肌荒れやかぶれ、くすみ、アレルギー性皮膚炎の原因になります。女性にいやがられる「オヤジ臭(加齢臭)」も、有害物質が肌から発散されたもの。

アンチエイジングにこだわるなら、外からあれこれ塗るより、まずは腸内環境を整えたほうが近道、ということですね。

腸の状態がいい人はボケない

見た目の若さの次に気になるのは、脳の若さ。「最近、人の名前が出てこなくて… 」「こんなミス、脳の裏えを自覚すると、ゆくゆくは認知症… ?若いころは絶対しなかった… 」。

とゾツとしますね。さきほどの調査では、「腸年齢が若いほど脳年齢も若く、腸年齢が老化しているほど脳も退化している」という結果も、くっきり出ています。「固有名詞、漢字が出てこない」「何をするために行ったか忘れる」「会話にアレ、ソレが多い」 と、これらのすべての項目は、腸年齢の若い人には見られません。

「単純な計算ができない」は、腸年齢の若い人ではわずか9 % 。「+20歳」の老いた腸の人は24% 台と、大差がついています。ほかにも、仕事の能力を左右する「物事を決められない」「同じことを長く続けられない」といった知能にかかわる質問でも、腸の若いグループが圧勝。

「腸が元気なうちはボケない」と言えそうです。お通じがよくて腸がすがすがしいと、気分も爽快になり、頭が冴える。ボケも逃げ出す。腸こそが、美、健康、若さ、気力、体力、脳力など、アンチエイジングのすべてのカギを握っているんです。

免疫とは

免疫学は全身にかかわる仕組みで、心臓や肺のように臓器の実体がしっかりと目に見えないせいか、どうも「とつつきにくい」と思われやすいようです。ちょっとクイズをやってみましょう。心臓が止まれば人は死にますが、免疫システムの働きが止まったら、人はどうなるでしょう?

人に一定量の放射線を浴びせると、心臓や肺をそのままにして、体の免疫系だけをつぶすことができます。免疫系の働きが止まったからといって、心臓や肺をつぶされた時のようにすぐ死ぬことはありません。しかしそのまま1〜2 週間経つと、だいたいは外からの細菌やウィルスに冒されて、下痢を伴ったさまざまな感染症で死んでいくことになります。

つまり「免疫」とは、体に悪さを働く外敵を駆除して、健康を保つシステム…外からの感染に対抗するために発達してきた体の仕組み、と考えてよいでしょう。

太古、私たち生物が陸に上がる以前、海の中で生活していたころの、本来の「体を守る」免疫システムは、外からの異物に対してだけではなく、「自己を認識しながら、そこに異常があった時に働くシステム」が基本でした。陸上生活を営むようになることによって、外的な危険が増し、「非自己」への備えの免疫も発達しました。

しかし、説明のつかない疑問も出てきます。たとえばアメーバやミミズには、ヒトの免疫系のようなしゃれたものは備わっていません。しかし、汚ないドブの中でもバイ菌だらけの環境でも生き続けて、人類よりずっと長く、何億年も前からいままで種をつないできています。

ということは、生き物の生存と存続にとって、免疫系なんて実はたいしたことないのでしょうか。

アメーバは屋台、人間はデパート

アメーバと人間の大きな違いは、「体を構成する細胞の種類や数」の違いです。アメーバは単細胞で、臓器と呼べるのは腸の役目をする「食胞」ぐらい。

対して哺乳動物であるヒトの細胞は多様化し、各臓器も多種多様の細胞でできています。アメーバがラーメン屋台なら、人間はデパートと考えるとわかりやすくなります。屋台なら毎日ひとりで決まった材料を仕入れて、自分で作って、売って、片付けるだけ。ラーメンを作る手もとも丸見え。

実にシンプルです。ところがデパートとなると、これは目がくらむほど複雑です。おびただしい商品を仕入れて並べて売って、売れ残りやクレームを処理し、採算を合わせる。そのために売り場の奥はたくさんのセクションに分かれ、大勢のスタッフが働いています。

社長から社員、パート店員まで、役割もさまざま。商品や販売員を管理・統率するための仕組み、盗難や火事、地震に備える仕組みなど、複雑なコントロールシステムも必要です。

人間の体も、細胞群がいくつもの複雑で異なった機能に分化しています。各臓器がうまく連携して働くためには、表からは見えない神経、内分系に加え、免疫システムが大事な役割を果たすことになります。

1970年ごろまで、免疫系とは「自己ではない異物を排除するシステム」で、がん細胞のような体内の細胞を攻撃することはない、という考え方が一般的でした。しかし当時、私どもは動物実験の結果から「日々がん細胞を見つけ出して、やっつけて歩く細胞があるのではないか」という仮説を立て、論文を発表しました。それ以降、世界中で研究が行われるようになり、NK細胞が発見されたのですが「キラー細胞は、どんな武器を使って、がん細胞やウィルスに感染した細胞を殺したり溶かしたりするのか」という最大の謎が残っていました。

「ピストルの弾に似た、相手に穴をあけるような分子を出して殺すのでは」という憶測もなされ、仮に「パーフォリン(たんばく質を含む細胞内部の袋) 分子」と名付けられていました。

キラーが出す弾丸を発見

免疫系が体を守る時にも、勘違いして自分を攻撃するアレルギー反応においても、最終兵器として「組織をこわす」ために働く分子のひとつが、パーフォリン分子なのでは。そんな仮定に基づき「パーフォリン分子の遺伝子をつかみ出す」競争が、国際的に威烈にくり広げられでいました。

特にアメリカでは、まるで最新設備を整えた工場のような研究室に専門家がたくさん集まり、鳴りもの入りでした。

パーフォリン分子の遺伝子については素人で、物資もなく、外国のその道の権威に情報や研究材料の提供をお願いしても、全く相手にしてもらえませんでした。友人たちに相談すると「大リーグに草野球チームが立ち向かうようなもの」とあきれられましたが、ともかくパーフォリン分子の遺伝子探索競争に参入しました。

せっかちな性格がこの時は院生を追い詰めるのに役立ち、結果として無名の小店は世界に先駆けて、キラー細胞の殺傷分子の遺伝子を釣り上げることに成功。新聞記者に、パーフォリン分子の遺伝子のことを「キラーが出すピストル弾」と説明したら、新聞の一面トップに「弾丸たんばくの発見」という見出しが躍ったこともありました。

この弾丸分子は「がん細胞や異物、ウィルスに感染した細胞を傷つけて殺す」という、体にとつていちばん重要な免疫反応のための分子です。その後、相手の膜を傷つける短刀のような分子、毒殺するような毒素分子なども発見され、キラー細胞の働きの複雑な実態が明らかになっています。

風邪薬を飲むと免疫が低下する

私たちの体を外敵から守ってくれている免疫システムと、身近な病気の関係をざっと見わたしてみましょう。

  • 目…まつげで異物の侵入を防ぐ。涙には殺菌作用、洗い流す働きがある。
  • 鼻…鼻水は微生物を殺菌。粘膜についた病原菌をくしやみで排出する。
  • 肌…汗の塩分や皮脂に殺菌作用。皮膚常在菌が保湿膜を作る。
  • 消化管(胃腸)…酸などの消化液で殺菌、さらに腸内細菌が異物を徹底排除。
  • 膣…酸性に保たれ、粘液が外敵をブロックする。常在菌が活躍。
  • 尿道…ブドウ球菌や連鎖球菌などの常在菌が、外敵や異物を排除する。

肌荒れ

皮膚表面の常在菌は免疫力の第一の砦。洗いすぎ、乾燥、塗りすぎなどの要因で悪玉優勢になると、トラブルがおこります。善玉の表皮ブドウ球菌が弱ったり、悪玉の黄色ブドウ球菌やアクネ菌などが優勢になるとニキビや肌荒れ、湿疹に。

花粉症

アレルギーは免疫の過剰反応。花粉などのアレルゲンに対して、抗体を作りすぎて体に影響を及ぼします。「免疫力が強すぎる」のが原因です。

風邪

原因はウィルス。風邪だけで数百種類のウィルスがあり、これが手や鼻、口に付着・侵入しておこります。くしゃみ、咳、鼻水、のどの痛みなどの症状は、すべて免疫細胞が風邪と闘っている証。発熱も免疫活性を高めるため。風邪薬に頼りすぎると免疫力が蓑えます。

下痢

腸の中に、消化吸収を助ける乳酸菌やビフィズス菌が少ないと、腸内の免疫力も低下。下痢や便秘がおこりやすくなります。消化不良、ストレス性の下痢、有毒物をすばやく排泄しようとする働きなどから、下痢が引きおこされます。

カンジダ膣炎

膣の中には乳酸菌がすみ、腔内を酸性に保っています。カンジダ菌はカビの一種で、普段から腫にいる常在菌。疲れやストレスがたまったり、抗生物質を摂ると勢力を増して暴れ始め、粘膜に炎症をおこさせて、かゆみ、白いおりものなどが増えます。洗いすぎも要因に。自浄作用が働いているのに石けんで洗いすぎると、善玉菌を殺してしまいます。
こちらこちら

ヘルペス

ウィルス感染が原因。キスやセックスなどの接触によって、単純ヘルペスウィルスに感染することが始まり。口唇に水疱が出る1型、性器に出る2型があり、唾液や体液から感染。唯一の予防策は発症している(水疱が出ている)人との接触を避けることです。

賢い免疫、馬鹿な免疫

免疫系にはバカな面や悪玉の顔もあります。たとえば花粉症や化粧かぶれ、喘息などのアレルギー疾患。

これは、特定の異物(花粉や化粧品やダニ)に対して、免疫反応が過剰に働きすぎて引きおこされます。それをしずめようとして薬を使うと、本来の免疫力も低下してしまうことがあります。

たとえばステロイドの投薬で喘息が治まっても、次は感染症が発病したりします。バランスの問題もあります。

一般に、花粉症などのアレルギーをもっている人は、寄生虫に対しで強い免疫力を発揮する傾向があります。逆に、結核やがん細胞に対して強い免獲力のある人は、寄生虫には弱い傾向があります。

人間に、得意・不得意や長所・短所があるのと同じですね。つまり免疫力は、「ただ賢い免疫だけきたえればいい」というものではなく、「免疫系のさまざまな働きが、バランスよく活性化している」ことが大事です。

これは腸内環境と同じですね。免疫システムは、暴走することもあります。関節リウマチ、全身性エリテマトーデスに代表される膠原病のような、治療方法が確立されていない40以上の難病は、「自己免疫疾患」これは、 免疫系が、自分の体のある成分を「非自己」と勘違いして、自分自身の正常な細胞や組織を激しく攻撃することからおきています。これもアレルギーです。アレルギーの発症には遺伝的な体質も関係しますが、食生活や精神的ストレスなどの生活習慣を改善して、免疫力を活性化することもたいせつです。

アレルギーには悪玉菌が効く

潰瘍性大腸炎とクローン病。どちらも腸の粘膜に潰瘍ができる難病で、免疫システムの異常から引きおこされる「自己免疫疾患」とされます。

国内の患者数は潰瘍性大腸炎が約10万5 000人、クローン病は約3万人。根本的な治療法がなかったこのふたつの病気に、「悪玉菌」とされることの多い腸内細菌が福音をもたらしそうだと、注目されています。

東京大学の本田賢也准教授らは、無菌環境で飼育したマウスの大腸には、T細胞(リンパ球の一種で免疫の司令官)の一種「Treg細胞」の数が、通常のマウスの約3割しかないことに気づきました。

Treg細胞は、炎症性腸疾患や関節リウマチなどの免疫システムの過剰反応を抑えるのに、極めて重要な役割を果たす細胞です。そこで、無菌環境でさまざまな腸内細菌を接種してみると、一般には悪玉菌とされるクロストリジウム属の細菌を接種した場合に、通常のマウスのレベルまでT r eg細胞が増えました。また、炎症性腸炎にかかりにくくなることがわかりました。ヒトの場合も、潰瘍性大腸炎やクローン病の患者さんは健康な人に比べ、クロストリジウム属の腸内細菌が非常に少ないことがわかっています。クロストリジウム属の細菌には、ボツリヌス菌などの有害なものも含まれるので、よく「悪玉菌」扱いをされます。

しかし、無害なものもあり、ヒトの腸内で多数、ほかの腸内細菌と共生しています。ヒトの腸内のTreg細胞の数を、人為的に増やせるようになったら、異常な免疫応答を抑制できる可能性があります。自己免疫疾患の症状の軽減やアレルギー疾患の治癒に役立ちそうだと、現在、盛んに研究されています。

NK活性が低いとがんになる確率が2倍に

免疫の最前線で働くNK細胞の働きが弱いとがんになりやすいことを、私はヌードマウス(実験用にNK 細胞を取り去ったマウス) で確認しましたが、ヒトの実験でもはっきりした結果が出ています。

埼玉県立がんセンターが、世界で初めて一般人の追跡調査で「免疫力の個人差と発がんリスクとの関係」を実証しています。一般住民3500人の協力を得て、NK細胞の活性度が「高い・中程度・低い」の3グループに分け、1年間追跡しました。すると、NK活性の低いグループの人たちだけが、はかに比べて2倍ほど、がんの発生率が高くなっていました。

同センターでは1986年に、埼玉県内の40〜80歳の男女約3 500人から血液中のNK細胞を採取しました。それをがん細胞と混ぜて、NK細胞が何% のがん紳胞を殺すかを調べ、それぞれののNK活性の強さを求めました。そして3 50 0人を1997年まで追跡調査し、発がんの有無を確かめました。

NK活性の強さ別に3 グループに分けて分析したところ、「高」と「中」のグループは、がんにかかった率が、女性はいずれも2% 、男性は7% と6% 。男性の平均年齢が女性より高かったため、全体に男性の発がん率が高くなっています。「低」のグループは女性4 % 、男性9% と明らかに高く、年齢や喫煙、食習慣などの影響を取り除くと、「低」グループの人は、「高」「中」グループに比べ、男性で約1.7倍、女性は約2倍、「がんにかかりやすい」という結論が出たのです。免疫力とがんの関係がはっきりしました。

ガンの予防対策と増殖抑制作用を高める

たった20分で免疫力をアップする方法

埼玉県立がんセンターでは、NK活性を高める方法として「緑黄色野菜を多く食べる」ことや「適度な運動」をすすめています。

ある実験では、NK活性を確実に上げる方法として「大笑い」に勝るものはなかったという結果がでています。40〜60代の男女8人に、まずは、採血で通常のNK活性を計測していただいてから、溝才番組をおよそ20分間楽しんでもらいました。たっぷりと笑ったあとに、再び採血。たった20分で、がん細胞を8%多くやっつけるパワーを獲得した人がいたのには驚きました。

慣れない実験のストレスのせいか、数値が下がった人もいましたが、結果は8 人中6人の免疫力がアップ。漫才などを見て笑うだけで免疫力が上がって、体内のがんを殺す力が増すなんて、これほど楽しい健康法はないでしょう。

電車に飛び込んでしまう人の共通点

コレステロールが、あいかわらず「悪者」にされ続けています。確かに心臓の悪い人にとつては、コレステロール値が高いということは、よいことではないかもしれません。

しかし別の見方をすると、これほど体にとつて大切なものはないんです。おかあさんが赤ちやんを育てる母乳は、コレステロールの宝庫です。コレステロールを含む中性脂肪がたっぷりのおっぱいを飲んでいると感染にも強い。離乳期に入ると、0-157 にやられたりすることがあります。

コレステロールを含(む中性脂肪は、0-157のような細菌の毒素を中和して無毒化するので、感染防御にはとても大事なもののひとつなんです。

コレステロールは細胞膜の大事な成分で、各種ホルモンのもとでもあります。強い血管もコレステロールから作られます。日本人は、年をとるとあっさりした食べ物を好む傾向がありますね。しかし、肉や卵を摂らないと、コレステロール値は下がってきます。そういう人は感染に弱い。

昭和4年ごろ、東北などのいなかに行くと、脳出血の患者さんがたくさんいました。農家でも卵や鶏はよそへ売っていた時代で、栄養が充分でなく、コレステロール値が低くて血管の弱い人が多かったのだと思います。

いまはだれでも肉や卵や牛乳を摂れるから、脳出血がグンと減ったとも考えられます。脳にもコレステロールをたっぷり与えておかないと、働きが悪くなります。

上場企業の役員の人などにはよく冗談で、「社員を採用するなら、コレステロール値が少なくとも200 mg/dl以上はないと。コレステロールの高い人は元気いっぱいで気性もアグレッシブだから、職場の雰囲気もよくなるし、営業成績も上がって会社の業績がアップしますよ」と言ったりします。

逆に身の回りの暗い顔をしてウツウツとしている人に、コレステロール値を聞いてみてください。きっと数値が低いはずです。

電車で朝、思いつめて線路に落ちる人のことを徹底的に調べたことがあります。5〜60歳ぐらいの男性がほとんどで、因果関係はよくわかりませんが、はば全員がコレステロール値を下げる薬を飲んでいたということでした。

そもそもコレステロール値についてはあいまいな部分が多く、どんな学者を連れてきても、「これが正常値」と言い切れる人はいないんです。

心臓さえ悪くなければ、300 mg/dlぐらいあったってどうってことない、と考える学者も大勢います。アメリカでは一般に「3 00までは放っておいて大丈夫」とされています。

コレステロール値を200以上と以下に分け、寿命を比べてみたら、高いグループのほうがずっと長生きだったというデータが発表されています。

発がん率も、コレステロール値の高いグループのほうが圧倒的に低い。女性は体質的にコレステロール値が高いんですが、心臓疾患はさほど多くありません。コレステロールをむやみに悪者呼ばわりするのは、そろそろやめたほうがよさそうですね。

なぜ、日光の木こりに花粉症はいないのか

いま日本人の5人に1人は花粉症だと言われます。花粉症は、スギなどの植物の花粉に含まれる特定のたんばく質に対して、免疫反応が強く働きすぎておきるアレルギーです。

ではなぜ、日光の木こりに花粉症がほとんどいないのでしょう。有名な「日光杉並木街道」のスギは、約1万250 0本。山に分け入ればその何十倍もの数が植わっています。実は日光市では、19 70年代からスギ花粉症調査を続けていて、年々花粉症の増加が観察されています。

花粉症はスギだらけの山の中ではなく、国道沿いの日光杉並木の周辺で、より多発しています。その増加曲線は、いろは坂の車両の通行量に比例しています。

  1. 土に落ちた花粉と違い、アスファルトに落ちた花粉は単に巻き上げられやすく、くり返し、鼻孔を直撃する。
  2. いろは坂周辺の住民は、大気汚染や騒音のストレスで、免疫力が落ちやすい。
  3. 木こりは早寝早起きで、仕事場は山の中だから、精神的ストレスが少ない。

日光の木こりに花粉症がいない(少ない) 理由は、このあたりにありそうです。アトピー性皮膚炎や喘息も含め、すべてのアレルギーには「免疫力の低下」が影響しています。木こりに習い、早寝早起き、わずらわしい人間関係は避ける、休日などには車の多い場所から離れて自然に親しむ、などの工夫をしたら、花粉症もほかの病気も軽くなると思います。

アレルギーは腸で治す

免疫力を簡単チェックで自己診断して判定 実年齢と比較しての免疫年齢がわかる

頻繁に風邪をひいたり、お腹をこわす人がいる一方、周囲の人がインフルエンザや食中毒でバタバタ倒れても、ひとり平気な人もいます。

若くしてがんに倒れる人もいれば、病気知らずで100歳まで働き続ける人もいます。同じ50歳でも、老人のように見える人も、つやつやした人もいます。その差はどこから生まれるのでしょう。

それは、免疫力です。人の「若さ」と「健康」を決めるのは、年齢ではなく、「免疫力がどれだけ高いか」。ここで、免疫力年齢をチェックしましょう。普通の健康診断とは、かなり毛色が変わっていると思いますが、まずはやってみてください。

Aの項目

  1. 早寝早起き。または就寝時間がほぼ一定。
  2. よく出歩く
  3. 何でもよく食べる
  4. ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆のいずれかを毎日食べている
  5. コレステロール値は200~300 mg/dl
  6. 夫婦仲は悪くない(既婚者)
  7. ひとりの生活を楽しんでいる(独身者)
  8. 細かいことは気にせずにのんきに過ごしている
  9. お笑い、落語などをよく見る
  10. 人と話すのが好き
  11. 何でも話せる友がいる

Bの項目

  1. 緊張感のない生活を送っている
  2. 平熱が36.5度以下で手足が冷えやすい
  3. 薬、サプリが手放せない
  4. うんち、おならが臭い
  5. 大笑いは滅多にしない
  6. 誰にも打ち明けられない秘密がある
  7. 健康管理は神経質
  8. 趣味や夢中になれることがない
  9. 悩みや落ち込みをひきずってしまう
  10. 風呂では石けんでごしごし洗う
合計点
  • Aのチェック項目数×1
  • Bのチェック項目数×-1

診断

あなたの免疫年齢は実年齢に対して…

8~10点
10歳以上苦い。元気に100歳を迎えられる可能性大。
4~7点
よそ5歳若い。健康に長生きできる可能性大。
0~3点
ほぼ年齢相応。心がけ次第で、健康長寿者の仲間入り。
-1~-3点
やや老けている。心身に不調が起きやすい
-4~-7点
およそ5歳老けている。さまざまな病気を抱える可能性大。
-8点~-10点
およそ10歳老けている。このままでは早死にする可能性大。

腸内には免疫細胞の70%がある

自己診断の結果は、いかがでしたか。マイナスになった人は、便秘や下痢などの腸の不調にお悩みだと思います。

免疫力年齢をプラスに転じてください。プラスになった人は、さらなる免疫力の増強を。さて、偉大な腸の話から始めます。どんなにすました人も、悪い物を食べてお腹(腸) がゴロゴロいい出したら最後、血相を変えて体をくねらせ、トイレに駆けこむしかありませんね。

たいていの頭痛はこらえられますが、下痢をこらえることはできません。腸は、脳から指示を受けないで「勝手に」、食物を消化して吸収し、カス(便) を外に出すという大仕事をしています。

胃から下りてきた食物成分を瞬時に分析し、膵臓、肝臓、胆嚢などに指令を出して、いちばん合う分解酵素を出させています。もしも有毒な物が入ってきたら、すぐに多量の腸液を分泌して便をゆるくし、猛スピードで体の外へ出させようとします。

これがいわゆる下痢で、体の非常に重要な防衛反応です。日本人の腸の全長は約9 mもあり、無数のひだをすべて広げるとテニスコートおよそ1面分、体表面の100倍の広さを有します。

この広大な面積をもつ腸に、体内の免疫細胞の70% が集まっています。中でも約7 mもある小腸は、

  1. 食べ物から栄養を吸収
  2. 病原菌の侵入を防ぐ

という、腸の主要任務を行っています。司令塔は小腸の粘膜に分布するバイエル板。リンパ球(免疫システムを担う血球の総称)が密集しています。

病原菌などの異物を見つけると、このリンパ球の一部が異物をとらえ、暴れないよう封じこめる免疫抗体(免疫グロブリン) を作ります。これが腸管免疫システムです。大人の体内では、毎日約4 gの抗体が作り出されています。

たとえばインフルエンザにかかると、この腸管免疫システムが働いてウィルスとの闘いが始まり、発熱、関節の痛みなどの症状が出ます。しばらくして、リンパ球で抗体が作られると、インフルエンザは治ります。

作られた抗体はずっと体内にとどまるので、ウィルスの種類が同じインフルエンザには、すぐに対応してくれます。たとえ再び感染しても、症状はごく軽くてすむわけです。

NK細胞のように、血管に入って働くリンパ球もあります。相手を特定せずに全身の血液中をめぐってパトロールを続け、ウィルス、病原菌、できたてのがん細胞などを見つけると、即刻殺していきます。同じように血管に入り、全身の免疫システムを指揮するリンパ球もあります。

腸管免痩システムは、腸で働くのに加え、血液に入って全身をめぐり、外敵から守る働きもしているんです。こういった働きを総合して、「腸は最大の免疫器官」と言われています。腸さえ元気なら全身の免疫システムが活性化して、病気を遠ざけられるのです。

弱った体が蘇るヨーグルト

てっとり早く腸を元気にして免疫力を上げる(腸内細菌のバランスを整える)方法は、大きく分けてふたつあります。ひとつは、毎日、乳酸菌を摂ること。腸を元気づける、最も手軽で、毎日食べてもあきない食べ物はヨーグルトと、ヤクルトに代表される乳酸菌飲料。

ただし、乳酸菌が入っていればなんでもいいわけではありません。70 〜80歳の人にR-1乳酸菌使用のヨーグルトを毎日90g、8〜12週間続けて食べてもらったところ、NK活性が低かった人も、数値が正常領域に上がっていました。

また生きたまま腸に届く乳酸菌シロタ株(ヤクルト菌)を摂り続けると、大腸がんや膀脱がんの抑制に働くことがヒトの体で証明され、医療の現場にも取り入れられています。

乳酸菌にはさまざまな種類と「効能」があり、体との相性もあります。「どう選ぶか」が肝心です。

もうひとつは、ストレス退治のための「大笑い」。高尚な努力はまったく必要ありません。腸の免疫力の主力選手、NK細胞は「大笑い」することで、驚くほど簡単に活気づきます。バカを言って笑い合ってストレスを吹き飛ばせる仲間がいれば、最高です。

家にいる時は、お笑い番組でも落語でもマンガでも手段はなんでもいいんです。ゲラゲラ笑う時間を、予定に意識的に組みこんでいってください。

笑いによって心身がリラックスし、自律神経のバランスが整ってNK活性が高まることは、さまざまな医学的実験で確かめられています。

テレビの公開実験で、70 歳をすぎたある俳優さんにお笑いコントを見ていただきました。かなり低かったNK活性の数値が、ゲラゲラ笑っただけで10倍にはね上がったのには驚きました。上品なスマイルより、体をゆすってガハハと笑うほうが効果的です。