リノール酸とトランス脂肪酸に要注意

不飽和脂肪酸のなかの多価不飽和脂肪酸に分類されるリノール酸は、人間の体内ではつくることができない必須脂肪酸のひとつです。

このリノール酸は、かつてコレステロール値や血圧を下げる働きがあるとして動脈硬化対策に用いられていた時代がありました。注目されたのは、コレステロール代謝によい影響を与えたり、血液中のコレステロール値を低下させたりする作用があり、血管系疾患が減少することが報告されたからです。

日本でも、多価不飽和脂肪酸を比較的多く含有するサラダ油のブームが起こりました。しかし近年、この「リノール酸神話」は崩壊しっつあります。リノール酸を摂りすぎてしまうと、悪玉コレステロール(LDL)だけでなく、善玉コレステロール(HDL)までも減少させてしまうことがわかってきたのです。そればかりか、結腸がんや乳がんなどによる死亡率を高めるリスクがあることや、血小板の凝集を高めたり血液をドロドロにして血流を悪くしたりするアラキドン酸が体内で過剰につくられることが明らかになりました。

最近では、花粉症などのアレルギーとの関連性も指摘されています。日本でも多価不飽和脂肪酸摂取の見直しが行なわれてきており、とくにリノール酸の摂取は必要最低限にとどめるという考えかたが主流になりつつあります。

それに対して、現在評価が高まっているのは、エキストラバージンオイルに多く含まれるオレイン酸です。オレイン酸は、血中の悪玉コレステロールを低下させますが、善玉コレステロールを減らすことはしません。さらに動脈硬化の予防にプラスに働くことが証明されています。ちなみに、エキストラバージンオイルのなかにはオレイン酸が77.3 % 、リノール酸が7%含有されています。エキストラバージンオイルを摂れば、必要最低限のリノール酸は摂取することができるのです。

そしてもうひとつ、今、もっとも危険な脂肪酸とされているトランス脂肪酸は、現在、世界的に使用制限のとり組みがなされている脂肪酸です。もともと自然界には存在しない脂肪酸で、大豆油やコーン油などの植物油に水素を添加する「ショートニング」という加工段階で発生するものです。

このトランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増加させ、善玉コレステロールを減らしてしまうことがわかっています。世界保健機関(WHO)が「トランス脂肪酸は総エネルギー摂取量の1%未満とすべき」と勧告し、生活習慣病の予防のため、アメリカやデンマークなど諸外国ではトランス脂肪酸の過剰摂取に注意を喚起し、加工食品に含有量の表示を義務づけるなどの動きが出ています。

トランス脂肪酸は、ファストフード店のフライドポテトやチキンナゲット、スナック菓子、菓子パン、マーガリン類に多く含まれています。これらを日常的に食べている人は、当然トランス脂肪酸の摂取量は高くなりますので、注意が必要です。

ファースト・フードの油 | 危険な食品
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